1.ロータリーとは?
ロータリーの使命は、職業人と地域社会のリーダーのネットワークを通じて、人びとに奉仕し、高潔さを奨励し、世界理解、親善、平和を推進することです。
私たちは、世界で、地域社会で、そして自分自身の中で、持続可能な良い変化を生むために、人びとが手を取り合って行動する世界を目指しています。
1905 年にシカゴで創設されたロータリーでは、110年以上、さまざまな職業をもつ人や市民のリーダーが「世界を変える行動人」となり、その経験と知識を生かして社会奉仕活動や人道的活動に取り組んできました。識字率向上、平和構築、水と衛生の改善など、幅広い分野で持続可能な影響をもたらすために、ロータリーの会員は毎日、世界のどこかで活動しています。
2.ロータリーの基本理念
ロータリーの基本理念は、ロータリアン共通の目的や指針として、長い年月をかけて形づくられたものです。互いの関係や行動の土台として、世界中のロータリアンがこれらの理念を大切にしています。
ロータリーの目的
ロータリーの目的は、意義ある事業の基礎として奉仕の理念を奨励し、これを育むことにある。具体的には、次の各項を奨励することにある:
第1 | 知り合いを広めることによって奉仕の機会とすること; |
第2 | 職業上の高い倫理基準を保ち、役立つ仕事はすべて価値あるものと認識し、社会に奉仕する機会としてロータリアン各自の職業を高潔なものにすること; |
第3 | ロータリアン一人一人が、個人として、また事業および社会生活において、日々、奉仕の理念を実践すること; |
第4 | 奉仕の理念で結ばれた職業人が、世界的ネットワークを通じて、国際理解、親善、平和を推進すること。 |
四つのテスト
言行はこれに照らしてから
- 真実かどうか
- みんなに公平か
- 好意と友情を深めるか
- みんなのためになるかどうか
超我の奉仕
(Service Above Self)
最もよく奉仕する者、最も多く報いられる
(One Profits Most Who Serves Best)
ロータリアンの行動規範
全会員(ロータリアンおよびローターアクター)には以下のことが求められる:
- 個人として、また事業において、高潔さと高い倫理基準をもって行動する。
- 他者に公平に接し、敬意をもって接すること。これには、他者を尊重する言葉を使う、サポートを示す、温かく迎え入れるインクルーシブな環境を助長する、多様性を重んじるという「ロータリーの多様性・公平さ・インクルージョン(DEI)の行動規範」を遵守することが含まれる。
- ロータリーを通じて自分の職業スキルを生かし、地域社会や世界のほかの地域の人びとの生活の質を高める。
- ロータリーやほかのロータリー会員の評判を落とすような言動は避ける。
- ロータリー関連行事のすべての行動規範に従う。
中核的価値観(CORE VALUE)
奉 仕(Service)
親 睦(Fellowship)
多様性(Diversity)
高潔性(Integrity)
リーダーシップ(Leadership)
3.行動計画(指針)
ロータリーのビジョン声明 私たちロータリアンは、世界で、地域社会で、そして自分自身の中で、持続可能な良い変化を生むために、人びとが手を取り合って行動する世界を目指しています。
ロータリーの戦略的優先事項と目標優先事項1 | より大きなインパクトをもたらす 行動人として、私たちは証拠に基づいて決定します。 |
優先事項2 | 参加者の基盤を広げる 行動人として、私たちは証拠に基づいて決定します。 |
優先事項3 | 参加者の積極的なかかわりを促す 行動人として、私たちは、時代や国を超えた関係を培います。 |
優先事項4 | 適応力を高める 行動人として、私たちはロータリーを強化し、末永く続く変化をもたらす新しい視点や考え方を追求します。 |
4.DEI(多様性・公平さ・インクルージョンへのロータリーのコミットメント)
ロータリーで私たちは、持続可能な良い変化を生むために人びとが手を取り合って行動する世界というビジョンの実現には、多様性があり、公平で、インクルーシブ(包摂的)な文化を培うことが不可欠であると理解しています。
私たちは多様性を重んじ、すべての背景、年齢、民族、人種、肌の色、障害、学習
スタイル、宗教、信条、社会経済的立場、文化、婚姻状況、使用言語、性別、性的指向、ジェンダー自認だけでなく、異なるアイデア、考え、価値観、信念を持つ人びとによる貢献を大切にします。
高潔性というロータリーの価値観に従い、DEI(多様性、公平さ、インクルージョン)にいたる旅路において組織として自分たちがどこにいるのかを正直かつ透明性をもって見据えるとともに、これからも学び、向上し続けていくことに全力を尽くします。
5.ロータリーの活動/7つの重点分野
切迫した問題が山積みとなっているこの世界で、私たちは単なる傍観者ではなく、自ら行動する責任があると考えています。ロータリーは以下の分野に重点を置いて活動しています。
- 平和の推進
- 疾病との闘い
- 水と衛生
- 母子の健康
- 教育の支援
- 地元経済の成長
- 環境の保護
6.国際平和
ロータリーが目指しているのは「国際平和」です。人道的組織として、平和はロータリーの使命の礎となるものです。私たちは、地域社会での平和構築のために人びとが協力すれば、その変化が世界的な影響を生むと信じています。
ロータリー会員は、奉仕プロジェクトや平和フェロー・奨学生への支援を通じ、貧困、差別、民族間の衝突、教育機会の欠如、リソースの不平等な配分といった紛争の根底にある問題に取り組むために行動を起こしています。
ロータリーは、新たな課題に応えるために平和構築へのコミットメントを高めています。ロータリーが未来にインパクトをもたらすには何ができるか、持続可能な変化を目指すロータリーのビジョン声明をどのように実現できるか、といった課題に取り組むべく、ロータリーは「平和構築」の定義をさらに広げ、より多くの人が平和構築に参加できる方法を見つけることで、団結と幅広い参画による平和という概念に基づくアプローチを取っています。
7.奉仕活動/5大奉仕部門
私たちは、クラブ活動の土台となる5つの奉仕部門を通じて、地域社会や海外での奉仕に力を注いでいます。
クラブ奉仕
クラブ奉仕は、会員同士の関係をはぐくみ、積極的な会員増強計画を実行して、活気あるクラブづくりを行うことです。
職業奉仕
職業奉仕は、すべてのロータリアンが倫理と高潔さをもって仕事にあたり、職業の知識やスキルを社会のニーズ解決のために進んで役立てることです。
社会奉仕
社会奉仕は、すべてのロータリアンが、地域の人びとの暮らしを豊かにし、より良い社会づくりに貢献することです。
国際奉仕
国際奉仕は、国際的なプロジェクトでボランティアをしたり、海外のパートナーとの協同活動を通じて、平和と相互理解を推進することです。
青少年奉仕
青少年奉仕は、インターアクト、ロータリー青少年指導者養成プログラム(RYLA)、ロータリー青少年交換などを通じて、青少年や若い世代の社会人がリーダーシップ能力を伸ばせるよう支援することです。
8.ポリオ根絶
「ポリオ」という病気
ポリオ(急性灰白髄炎)は非常に感染性の高い病気であり、特に感染しやすいのは5歳未満の子どもです。日本では一般に「小児まひ」と呼ばれることもあります。
ポリオウイルスは人から人へ感染し、最も多いのは汚染水を通じた感染です。神経系を侵すこともあり、これによって身体のまひを引き起こす可能性があります。治療法はありませんが、安全なワクチンで予防が可能です。ロータリーとそのパートナー団体は、これまで世界中25億人以上の子どもにワクチンを投与する活動を行ってきました。
ロータリーとポリオ根絶活動
ロータリーでは、職業や市民のリーダーが会員となり、地元や世界の問題に取り組んでいます。ポリオの根絶は、長年にわたってロータリー会員が力を注いでいる活動です。パートナー団体とともに、私たちは122カ国、世界25万人以上の子どもにポリオ予防接種を行ってきました。活動開始以来、世界の発症数は99.9%減っていますが、ポリオはまだ根絶されていません。私たちは、目標を実現するまで決してあきらめません。
なぜポリオを根絶するのか?
世界からポリオを根絶しない限り、今後10年以内に、世界での年間発症数は20万件に上ると予想されています。ポリオの常在国はわずか2カ国ですが、ポリオの発症がどこかで起きている限り、感染の危険は世界中の子どもに及ぶことになります。
なぜ資金が必要なのか
ポリオを根絶するには、野生型ウイルスによるポリオ発症が起きている2カ国(アフガニスタン、パキスタン)でウイルス感染を断ち切る必要があります。また、既に「ポリオフリー」となった国にウイルスが流入しないようにしなければなりません。
ポリオを撲滅する戦いの最も重要な側面の 1 つは検知です。これは複雑で費用がかさみ、継続的にサーベイランス(監視活動)が必要です。
さらに予防接種キャンペーンは驚くほど複雑です。ロータリアンからの寄付は、計画立案する技術専門家に対する費用、予防接種のメリット・接種が行われる日付を認識してもらうための大規模な広報活動費用、大都市から、どの地図にも載っていないような僻地まで個別に家を訪問するボランティアの支援のための費用を負担しています。
9.ロータリーのプログラム
次世代のリーダーを育てる、地域社会に貢献する、平和を築く……。ロータリーには、会員だけでなく、やる気があれば誰でも参加できる数々のプログラムがあります。自分にできることを、ロータリーで始めてみませんか
補助金
ロータリー財団は100年にわたり、多くのアイデアをプロジェクトのかたちで実現してきました。ロータリーの会員は、補助金や奨学金を利用して、人道的活動、教育の支援、国際交流を行っています。
奨学金
ロータリーは、未来のリーダーや社会に貢献できる人材を育てるために、毎年700万ドル以上を大学・大学院教育の奨学金として提供しています。
ロータリー青少年交換
交換留学を通じて、未来を担う若者たちの国際交流と異文化理解を促すプログラム。交換留学生は、海外で外国語を学び、異文化に触れ、世界市民としての自覚を養います。
ロータリー青少年指導者養成プログラム(RYLA)
RYLAは、若い人たちが楽しみながら新しいスキルと自信を身につけることを目指すリーダーシップ養成プログラム。1日のセミナーから数日間の合宿まで、さまざまなRYLAイベントが世界各地で行われています。
ロータリー平和フェローシップ
毎年、世界中から選ばれる最高130人のフェローに、ロータリー平和センター提携大学で学位を取得するためのフェローシップ(奨学金)が授与されます。
10.ロータリーの誕生と世界のロータリー
ロータリーの誕生
20世紀初頭のシカゴの街は、著しい社会経済の発展の陰で、商業道徳の欠如が目につくようになっていました。ちょうどそのころ、ここに事務所を構えていた青年弁護士ポール・ハリスはこの風潮に堪えかね、友人3人と語らって、お互いに信頼のできる公正な取引をし、仕事上の付き合いがそのまま親友関係にまで発展するような仲間を増やしたい、という趣旨でロータリークラブという会合を考えました。ロータリーとは集会を各自の事務所持ち回りで順番に開くことから名付けられたものです。
こうして1905年2月23日にシカゴロータリークラブが誕生しました。
世界のロータリーの現状
それからは志を同じくするクラブが、つぎつぎ各地に生まれ、国境を超えて、今では200以上の国と地域に広がりクラブ数36,929、会員総数1,181,107人(2024年4月、国際ロータリー公式発表より)に達しています。そして、これら世界中のクラブの連合体を国際ロータリーと称します。
このように、歴史的に見ても、ロータリーとは職業倫理を重んずる実業人、専門職業人の集まりなのです。その組織が地球の隅々にまで拡大するにつれて、ロータリーは世界に眼を開いて、幅広い奉仕活動を求められるようになり、現在は多方面にわたって多大の貢献をしています。
11.日本のロータリー
日本のロータリーの創立
日本でのロータリーの創立のわが国最初のロータリークラブは、1920(大正9)年10月20日に創立された東京ロータリークラブで、翌1921年4月1日に、世界で855番目のクラブとして、国際ロータリーに加盟が承認されました。
日本でのロータリークラブ設立については、ポール・ハリスの片腕としてロータリーの組織をつくり、海外拡大に情熱的に取り組んだ初代事務総長チェスリー・ペリーと、創立の準備に奔走した米山梅吉、福島喜三次などの先達の功を忘れることができません。
その後、日本のロータリーは、第2次世界大戦の波に洗われて、1940年に国際ロータリーから脱退します。戦後1949年3月になって、再び復帰加盟しますが、この時、復帰に尽力してくれたのが国際ロータリーの第3代事務総長ジョージ・ミーンズでした。
日本のロータリーの現状
その後の日本におけるロータリーの拡大発展は目覚ましいものがあります。ロータリー財団への貢献も抜群で、今や国際ロータリーにおける日本の地位は不動のものになりました。現在、日本全体でのクラブ数は2,205、会員数83,480人(2024年3月末現在)となっています。
(上記は国際ロータリー公式サイト日本版
マイロータリーサイト
エンド・ポリオサイト日本語版
国際ロータリー公式地域雑誌「ロータリーの友」より)